新球団?楽天イーグルスの試合をきのう、本拠地の仙台で見た。新装の球場ではトランペットなど鳴り物を使った応援は禁止である。そのぶんバットの音が客席まで心地よく響いた。

 王者西武を相手に楽天が快勝した。産業界の浮き沈みを思わせるような試合展開だった。銀行を辞めてネット事業にこぎ出した起業家が、先代の遺訓にしがみつく鉄道王を倒す。新と旧の対決に場内がわいた。

 職業野球が生まれた昭和の初め、大半の球団が新聞社か鉄道会社を母体にしていた。戦後は映画や自動車などの業種が乗り出す。菓子や飲料に続き、金融や民放も参入した。その間に不動産やスーパーなどが退場した。

 米国時間の3日には、大リーグも開幕する。あちらの球団は、オーナーがめまぐるしく代わる。かつては、銀行家やビール王など野球好きの富豪が球団を買った。それが次々、ディズニーなど有名企業の手に渡った。近年は、球団を債権のように扱う投資家たちが買収戦に忙しい。ひいきチームの所有者がだれか、長年のファンでも混乱する。

 お隣の韓国でもきのう、プロ野球が幕を開けた。昨年は兵役逃れの不正で大揺れだった。中南米や台湾などでもプロ野球は盛んだが、ジャイアンツやタイガース、イーグルスといった球団名は世界各地にある。名前を決める際、本場の米国流にならうところが多いのだろう。

 プロ球団が仙台を拠点にするのは28年ぶりだという。産業の栄枯盛衰は世のならいだが、景気や株価に左右されず、この地にしっかりと根をおろしてくれたらと願う。