这抄自濑户内寂听改写的《源氏物语》—《女人源氏物语》。


  濑户内寂听:1922年生于德岛。毕业于东京女子大学。1963年以《夏の終り》获女流文学奖。73年削发为尼,法名寂听。87年出任天台寺住持。92年以《花に問え》获谷崎润一郎奖。96年以《白道》获艺术选奖文部大臣奖章。


  《女人源氏物语》采用女性主人公自述的形式写成,故有此名。如《源氏物语》第一卷《桐壶》,改写后名为《桐壶更衣如是说》,便是以桐壶更衣为第一人称叙述其与桐壶帝间的……(唉,找不到词啊!这就是我为什么只能抄,不能译了。幸好要求的人要的是日文。)后面依次有《靫负命妇如是说》、《空蝉如是说》、《夕颜的侍女右近如是说》等等。


  至于小花,我所有的就只是这些,你要想看,我慢慢敲给你看。好不好用,可就在你了哦!:P



 恋しい主上さま、おいとしい主上さま、お別れしてまだ半日と過ぎておりませんのに、もう幾十日も、いえ幾月もお別れしているような淋しい心細い気分がしてなりません。


 主上さまの温かなお胸の上、主上さまの強いお腕の中でしか、もはや生きられなくなっている自分を、しみじみ思い知らされています。程なくわたくしの命の火はかき消えていくことでしょう。隣の部屋で夕方からずっと叡山の霊験あらたかな高僧たちが祈祷を続けていくれています。そのおかげか、家にたどり着いた時は、息もとまっていましたのに、蘇生して、少しは呼吸も楽になりました。でもこの安らぎは、命の火の消える前のほんの一瞬の華やぎでしょう。


 御所を下がる時、あんなにも名残を惜しんでくださり、


 「こんなに弱っているのに、どうして手離すことができるものか。どうしても引き留められない命なら、せめてわが胸の中で息を引き取らせてやりたい。」


 と仰せられて、離すまいと名残を惜しんでくださったのは、その時のお別れが永久の別れとなることをお見通しでいらっしゃったからなのでしょう。わたくしだって、どうしてあの時、主上さまをおひとりにして、御所から退出したかったでしょう。叶うものなら、御所の主上さまの御帳台の中で、主上さまのお胸にしっかりと抱きしめられたまま、息を引き取りとうございました。


 「こんなに愛している者が死ぬかもしれないという大切な時に、わざわざ手離すなどというむごいことがどうしてできようか。限りある命で、これまでという運命なら、いっそわたしの腕の中ではかなくなっておくれ。いつでもふたりで死出の道にも共に行こうと契りあったではないか。まさか、今になってわたしをひとりのこして、里へ帰れるはずもあるまい」


 と、お泣きくださいました。


 死の穢れを忌むあまり、たとい皇后、中宮でも、重い病にかかると万一の時の穢れを憚って、里方へ退出あそばすのが宮中のきそくでございます。


 それさえ主上さまは憎まれ、


 「誰がそんなくだらない規則を定めたのだ。天子はこの世で叶わぬもののない存在ではないか。そんな馬鹿げた規則などかえてしまえばいい。」


 などむずかられ、手のほどこしようもありません。わたくしはそんな主上さまの御悲嘆を目の当たりにして自分の心身の苦痛を忘れ、ただもう主上さまをお慰めするためには、どんな目にあってもいいと思うのでした。その間にも刻々衰弱していく体は息も絶え絶えになって、思うことすら口に出てはまいりません。


 ああ幾千度、ふたりで誓いあったことでしょう。天に在りては願わくは比翼の鳥とならん、地に在りては願わくは連理の枝とならんと。白楽天の「長恨歌」を口移しに覚えさせていただいたことも今は夢です。比翼の鳥とは雌雄をれぞれ目がひとつずつ、翼も一つで、二羽を合わせてようやく一体となって空を飛ぶことができる鳥、連理の枝とは幹は二本でのびた枝が互いひとつにからみあって離れない樹とか。この世には在るとは思えないそんな鳥や樹を想像した人も、きっとわたくしたちのように身も心もひとつに溶けあうほど愛し合い、片時も離れていられない恋人どうしだったのだろうと、話し合ったものでした。


 夜毎の閨の中では、わたくしたちは比翼の鳥にも、連理の枝にも体をひとつにしてなりきったものでした。


 わたくしが先たってしまえば、どんなにお嘆きになられるだろうと思うと、死んでいくじぶんよりもお残りになる主上さまのほうがおいたわしくて、お名残惜しいお顔をただうち目守るばかりでした。


 「かぎりとて別るる道の悲しきに 


    いかまほしきは命なりけり


 ああ、もっと生きとうございます。前からこんなふうになるとわかっておりましたなら……」


 と息も絶え絶えに言いさして、もっともっと、せめてそれだけは聞いていただきたい遺言もあったのでしたが、もはや呼吸も辛く言葉も出なくなってしまいました。言いたかったことはたぶんお察しくださっていると思います。


 若宮のことだけでした。


 


 (つづく)