85 君が行き 日長(けなが)くなりぬ 山尋ね 迎へか行かむ 待ちにか待たむ


86 かくばかり 恋ひつつあらずは 高山の 岩根しまきて 死なましものを


87 ありつつも 君をば待たむ うち靡(なび)く 我が黒髪に 霜の置くまでに


88 秋の田の 穂の上に霧(き)らふ 朝霞(あさかすみ) いつへの方に 我が恋やまむ


ーー磐姫皇后(いわのひめのおおきさき)