最近の言葉から。戦後60年の8月がゆく。広島県海田町の黒瀬フサコさんは毎晩、焼けこげたズボンに手を合わせ眠る。広島市で被爆して亡くなった夫、原八朔(やいち)さんがはいていた。「母の後は私がズボンを守り続けます」と娘の村上隆子さん。

 韓国には、被爆しながら被爆者援護法の対象外にされたままの高齢者が400人以上いる。鄭外先(チョンウェソン)さんは申請に必要な証人が見つからない。「手帳をとるのは、天の星をつかむようなものです」

 「今度こそ双方が対立に終止符を打ってほしいというのが、痛めつけられた住民の切なる願いだ」。津波で住民の8割以上が死亡したインドネシアの村の村長が政府と独立派ゲリラの和平調印で述べた。

 少年院や刑務所の篤志面接委員らの手記集が出版された。DJの西任白鵠(にしとあきこ)さんは、撮る角度で様々に写るカメラを例えに、少年たちに語りかけたという。「人はみな物の見方も違えば、考えも違う。君たちもそのままでいい」 。

 後味の悪さが残る甲子園大会だが、長崎県立の清峰が、さわやかな風となった。初出場で優勝候補を次々破り、ベスト16に。甲子園が「普通の高校生でも練習すれば行ける場所と分かった」とエースの古川秀一君。

 骨肉腫のため昨秋13歳で亡くなった福岡県大牟田市の猿渡瞳さんの作文「命を見つめて」が教科書に採用される。「戦争や、平気で人の命を奪う事件、いじめを苦にした自殺など、悲しいニュースを見るたびに怒りの気持ちでいっぱいになります……本当の幸せって、いま、生きているということなんです」