戦後が還暦になった今年は、折に触れて、昭和20年、1945年にあったことを振り返っている。9月の11日には、連合国軍総司令部(GHQ)が、東条英機元首相らの身柄拘束に動いた。最高司令官マッカーサーによる日本統治が、本格的に始まっていた。

 9月2日、マッカーサーは東京湾に浮かぶ米戦艦ミズーリで、日本の降伏文書の調印に立ち会った。艦上では、連合国や日本の代表を取り囲んで、水兵たちが鈴なりになっていた。その一角に、一枚の古びた大きな星条旗が掲げられていた。それは、幕末に来航して日本に開国を迫ったペリー提督の旗艦に翻っていたものだった。

 マッカーサーは、米国民に向けてこう述べたという。「きょうの私たちは九十二年前の同胞、ペリー提督に似た姿で東京に立っている」(『マッカーサー回想記』朝日新聞社)。日本にとって、敗戦による占領は、幕末に次ぐ「第2の開国」だった。

 それから60年、日本は占領下に定めた平和憲法を掲げつつ、軍備では世界有数の国となった。しかし今のところ、自衛隊は、一人の外国人も殺害していない。一方米国は、世界の各地で戦争を繰り返し、自、他国に、おびただしい数の墓碑を築いてきた。

 今の時代は、どの国も、外国との関係を重くみなければ立ちゆかない。一国への偏重ではなく、視野を広げ、とりわけアジアの一員として、尊敬の念をもって交われるようにしたい。

 総選挙が、戦後還暦の年に巡ってきた。この国の未来を選ぶことは、世界の中の日本のありようを選ぶことでもある。