天皇ご一家の写真が、昨日の紙面に載った。女性天皇や女系天皇を容認するという「皇室典範に関する有識者会議」の報告書の内容を伝える特設面だ。

 もし、皇室典範が報告の通りに改まれば、写真の範囲に限っても皇位継承資格者は2人から5人に増える。皇太子さま、秋篠宮さまに、それぞれの女のお子さま3人が加わる。この小さな人たちの健やかな成長を願う一方で、法によって人生と将来が左右される立場の厳しさも感じた。

 有識者会議は、このままでは皇位継承が立ちゆかなくなるのを避けるにはどうすべきか、という課題に答える線で結論を出した。骨の折れる作業だったかも知れない。報告への評価はいろいろあるだろうが、世論の支持が比較的得やすい方向でまとまったようにみえる。

 ただ吉川弘之座長の言葉で、やや疑問の浮かぶところがあった。「ただちに現実の制度として発効することを考えて議論を進めてきた」と説明しつつ、皇太子ご夫妻に男子が誕生した場合の継承順位については「そういう仮定の話は議論の俎上(そじょう)に載せなかった」と述べた。

 「仮定の話」は、いつ現実になるか分からない。それを議論の俎上に載せないのでは実際的ではないと思う。ただ、それを有識者の会議という場で論じることの困難さも理解できなくはない。

 本社の世論調査では女性天皇への支持は多いが、第1子優先かどうかでは分かれている。この微妙で肝心なところは、国会の場ではどう判断されるか。論議は結論を急いで期限を切ることなく、世論も確かめながら進めてほしい。