「郵刺客者(ゆうしかくしゃ)」「セパ琢磨(たくま)」「大株主命(おおかぶぬしのみこと)」。住友生命が募集した今年の出来事や気分を表す「創作四字熟語」だ。

 こんな作品もある。住宅や駅にサソリやヘビが出没した「行方悲鳴(ゆくえひめい)」。少子化の傾向が止まらない「減子次代(げんしじだい)」。クールビズが広まった「薄衣多売(はくいたばい)」。世界の各地で大きな地震や災害が起きて、「津々揺々(つつゆらゆら)」。大方は、11月までの動きにちなむものだ。そこで主に直近のニュースに即して、及ばずながら思案してみた。

 ブッシュ米大統領が演説して、イラクの大量破壊兵器についての機密情報が間違っていたと認めつつ、戦争を正当化した。イラク人の死者は、民間人だけで約3万人ともいう。謝罪とざんげがないのでは、「先制薮主(せんせいぶっしゅ)」の強弁と言われても仕方がないのではないか。

 その大統領による先制攻撃をいちはやく支持した小泉首相の責任も、改めて問われる。大統領の開戦責任と、つながっているからだ。大事な日米関係が、「ブ唱小随(しょうこずい)」でいいはずがない。イラクへの自衛隊派遣の1年延長も「米意和達(べいいわたつ)」のように、あっけなく決まった。

 国内では、耐震偽装の問題が深刻だ。鉄筋を不当に減らされた「中空楼閣(ちゅうくうろうかく)」が幾つも建てられた。株を巡っての騒動も相次いだ。買い占めに走る「株主総買(かぶぬしそうかい)」があり、誤って発注された株を大量に手に入れたものの、利益を取るかどうか対処に迷う「握銭苦悩(あくせんくのう)」と「取捨忖度(しゅしゃそんたく)」があった。

 この一年、殺伐としたニュースが目立った。最後ぐらいは、明るい出来事に期待したい。除夜の鐘までには、まだ少しだが間がある。