プルートー(Pluto)は、ローマ神話の黄泉(よみ)の国の神である。そんな名前をつけられた星を、日本では冥王星と呼んでいる。75年前に発見され、太陽系の最も外側を回る第9惑星とされるが、本当に惑星と言えるかどうかで論争があるという。

 星にとってはどちらでもいいことかも知れないが、今度は「第10惑星が見つかった」と、米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所が発表した。第3惑星?地球に居る身からは、この太陽系が何人きょうだいなのか、いささか気になる。

 この星の存在は、2年前に米?パロマー天文台の望遠鏡で確認された。遠すぎて正体不明だったが、軌道を調べ直して太陽を周回していることがわかった。

 確かに遠い星だ。太陽までの距離が、遠い所では、地球から太陽までの距離の100倍近い。公転の周期が約560年というから、この星が、今いる位置に前回いたのは、地球ではあのレオナルド?ダビンチが生まれる少し前ごろになる。惑星と認めるかどうかは国際天文学連合で決めるそうだ。

 惑星の「惑」は天空で惑うかのように位置を変えるからという説がある。その惑いの妙が、古来、人を引きつけてきた。〈金星は下潜(くぐ)りつつ月の上に土星は明し光りつつ入る〉。1933年に起こった、金星と土星が続けて月の裏側に入る珍しい現象を見て、北原白秋が詠んだ。〈母と子ら佇(た)ちてながむる西の方(かた)月も二つの星を抱きぬ〉。

 冥王星や「新惑星」の惑いは、肉眼ではとうてい見えないが、静かに宇宙の闇を行く姿への想像を誘う。