世界一高い山は?と尋ねられたら普通はエベレスト(チョモランマ)と答えるだろう。でも、エクアドルのチンボラソ山だという答えも正解だといえるかもしれない。

 海抜でいうとエベレストだが、地球の中心からの距離ではチンボラソ山(海抜6310メートル)が最も遠い。地心距離といい、それだとエベレストは32位になってしまう。地球が真ん丸ではなく、赤道方向が張り出した楕円(だえん)体だから、赤道に近い山ほど「高く」なる(『地球が丸いってほんとうですか』朝日選書)。

 スマトラ沖地震が地球の形や自転などにも影響を与えたことがだんだんわかってきた。米航空宇宙局(NASA)の発表では、地球の扁平(へんぺい)率が減少、ほんの少し丸くなった。また、自転速度が増して一日の長さが100万分の2.68秒ほど短くなった。地軸も2.5センチほど東に移動したという。インドの観測チームによれば、アンダマン諸島はインド本土から1.15メートル遠ざかった。

 地震波は地球を少なくとも5周し、8周に至っているかもしれない、とは北海道大の解析だ。発生から3週間ほどたっても地球が震えていることを観測したのは国立天文台水沢観測所で、0.3ミリの幅で伸び縮みを続けたという。

 激震は人々に苦痛と悲しみをもたらしただけでなく、地球を揺さぶり、衝撃を与え、変形をもたらした。地球自体がなお激痛にあえいでいるかのようだ。

 神戸市で国連防災世界会議が開催されている。地球規模の災害を、地球規模で考える。そんな発想で論議を深めながら成果をあげてほしい。