とかく税金は集めにくい。使い方への批判もあふれる。ならば、住民に使い道を選んでもらえば、いいじゃないか。  


 こんなアイデアを条例で実現させた市がある。千葉県市川市だ。住民は自分が払う市民税の1%分を、市内のNPOや住民団体に提供できる。応援したい団体をひとつ選び、市役所に通知すれば、市の補助金として届けられる。名づけて「納税者が選ぶ市民活動団体支援制度」。ハンガリーの税制をまねて、今春から日本で初めて導入した。  


 「1%」の受け手には、81の団体が並んでいる。福祉ボランティア養成、少年野球教室、ミュージカル公演など、やりたい事業はさまざまだ。マージャン入門講座なんてのもある。今月から各団体が市の公報や街頭で「清き1%を」と呼びかける。住民は5月上旬までに応援先を決めていく。  


 46万人余りが住み、市民税は1%でも3億円になる。だが、いわゆる千葉都民が多く、地元への関心は極端に低い。市は「税の提供先を決めるのは10人に1人、総額で3千万円くらい」と控えめに見込む。6月の最終結果は、開けてみてのお楽しみだ。  


 似たような制度は他の自治体でも検討中だが、異論もある。「税を納めない低所得者の意向が無視され、法の下の平等に反する」「1%は減税するのが筋だ」などだ。