列車ダイヤを組む人は、スジ屋と呼ばれる。ダイヤの上では、列車の走行は斜めの線(筋)で表されるからだ。「スジを立てる(傾斜をきつくする、つまり列車の速度を上げる)」、「スジを寝かす(傾斜をゆるくする、つまり速度を下げる)」などの言い回しがある(宮脇俊三対話集『ダイヤ改正の話』中央書院)。

 これまで、ひたすら「スジを立ててきた」JR西日本が、今後、京阪神地区の主要路線の快速などで、「スジを寝かせる」という。ダイヤ編成に余裕がなく、日頃から遅れが目立つ路線では、無理な運転が行われかねないと判断した。

 尼崎での大惨事を受けての切り替えだ。遅すぎた感がある。一方では「不便になる」と、同意できない利用者がいるかもしれない。しかし、再発を防ぐ手だてを尽くすためには、やむを得ないのではないか。

 先日、尼崎駅の時 刻表に触れた。朝8時台に大阪駅や京都駅方面へ向かう電車が40本あり、東京の山手線が二十数本だから、確かに、かなり密だと思ったと書いた。山手線は複線だが、尼崎の方は複々線だ。従って、山手線ほど密とは言えない。

 ただ、日頃から東京の通勤線については、「密」を通り越した「過密」という思いがある。それほどではないにしろ、尼崎の方も既に「かなり密」な状態と感じられた。

 関西に限らず、大都市圏で、ラッシュ時のダイヤがある程度密になるのは仕方がない。しかし限度はあるだろう。「寝かせる」べきスジがあるかどうかを含めて、他の交通機関も、改めて点検してほしい。