第二次世界大戦後の平和がもたらしたものの一つは、団塊の世代だった。1947年から数年間に生まれた世代は、生年別人口のグラフに常に大きな出っ張りを形作ってきた。

 戦後60年たって「2007年問題」がとりざたされている。団塊の世代の定年退職が集中し始める07年以降、企業内の技術の継承が難しくなるといった懸念だ。団塊の世代を51年生まれぐらいまでとみれば、2007年問題は「2007年から問題」である。

 団塊の世代の大きさが絡む、もう一つの「2007年から問題」がある。07年には、大学の志願者と入学者がほぼ同数となり、全体としては「大学全入」になるという。

 団塊の世代の子どもが大学に入っていたころ約200万人だった18歳人口が、この10年で約150万人に減った。団塊ジュニアの厚みを当て込んでいた大学も多かったが、受験生の確保に悩むところが増えている。

 受験生減で経営が行き詰まる「大学倒産」の時代の到来を告げるかのように、山口県の萩国際大学が民事再生法の適用を申請した。生き残りのための厳しいせめぎ合いが始まっている。1000年近い歴史をもつ欧州の大学を見習って始まった日本の大学だが、蓄積も施設も膨大なものになった。それを二つの「2007年から問題」に生かせないだろうか。

 例えば、会社などを続々卒業する人たちを大学の「新入生」として受け入れる。あるいは、大学を技術の継承の場として提供する。この「還暦大学」に、月に何回か通う。そんな、ゆったりとした生き方を夢想した。