サミットの開催と、オリンピック開催の決定と——。いつにも増して世界の目が集中していたイギリス?ロンドンで、同時多発テロが起きた。この時期の、この街に狙いを澄ましたような、許し難い凶行だ。

 2012年の五輪の開催地を巡って、ロンドンは、本命とされていたパリを破った。決まった後のトラファルガー広場での市民たちの喜びようや、ブレア首相の満面の笑みが印象的だった。そのイギリスの高揚感を、たたきつぶすような爆弾テロだ。

 サミットのため、ロンドン市内の警備は、いつよりも厳しかったと思われる。しかし、多くの市民の足である地下鉄やバスで、同時に何カ所も爆発は起きた。名物の二階建てのバスも大破したと報じられた。世界からの観光客も逃げまどったに違いない。

 警備の根本が、厳しく問われることになるだろう。テロリストは、誰もが行き交う公共交通機関を狙った。いわば警備の「泣きどころ」を突かれ、許した。そこが深刻だ。

 9?11の同時多発テロから、やがて4年になる。この間、世界は安全な方に向いてきているのだろうかという疑問が改めて浮かんだ。「将来の世界の安全」などを掲げて、アメリカはイラク戦争を強行し、イギリスは、それを支えてきた。小泉首相を含め、サミットの首脳たちは、この事態をどう語り合ったのだろうか。

 民主主義社会は、このような暴力で揺らいではならないし、揺らぐことはないだろう。しかし、残念ながら、市民に対する無差別多発テロを記憶する日付として、7?7が加わった。