星にちなむ全国アンケートで、好きな天体の第1位に「すばる(プレアデス星団)」が選ばれたことがある。昔から日本人にはなじみが深く、清少納言も「星は すばる。ひこぼし。ゆふづつ」と「枕草子」でうたっている。

 おうし座にあり、六つの星が見えることから六連星(むつらぼし)ともよばれた。この六つの星をデザインしたマークが「スバル車」をつくる富士重工業の商標だ。そのスバル車の先行きが気になる動きがあった。

 トヨタ自動車が富士重工と業務提携し、これまでの提携先の米ゼネラル?モーターズ(GM)が持っていた株の一部を買って筆頭株主になる。国際的な再編を繰り返してきた業界だが、今回は日米関係を映しているような面がある。

 業績がめざましいトヨタは、米国での販売価格の値上げを発表している。トヨタは否定しているが、値上げも今回の動きも 、経営不振に苦しむGMへの支援とみられている。

 19世紀に欧州で生まれた自動車は20世紀に米国で巨大な産業となった。戦後もGMなどのビッグスリーの時代が続いたが、やがて、トヨタなどの日本車が米国の多くの消費者の支持を得るようになった。その流れは激しく、米国のメーカーは窮地に追い込まれている。

 58年に発売された「スバル360」は、丸くて小さい形から「てんとう虫」とも呼ばれた。富士重工の前身の中島飛行機の技術が凝縮されていた。小さくともきらりと輝く。そんな願いと誇りとが感じられた。そのスバルのマークが、今は、国と国のきしみの緩衝材に使われているように見える。