「民主主義の強さを確認するものだ」。京都での記者会見で、ブッシュ米大統領は、先の総選挙での小泉自民党の圧勝について、そう述べた。「日本は改革すべきかどうかを問いかけ勝利した」に続くくだりだ。首相を祝福したいのは分かるが、やはり違和感がある。

 小泉首相が国民に問いかけたのは、「日本は改革すべきかどうか」というよりは「郵政民営化法案に賛成か反対か」だった。国民の関心がそう高くなかった、たった一つの法案への賛否を問う異例の総選挙だった。それを評して、なぜ「日本という国の改革を問うた」となるのだろうか。

 単に「改革が必要かどうか」なら必要と答えるのは当然で、何をどう改革するのかで国民の意見は分かれる。その議論が尽くされてはじめて、民主主義の強さが確認されるのではないか。

 この日、国会の信頼にまでも及びかねない事件が摘発された。酒販店でつくる「全国小売酒販組合中央会」の元事務局長を、警視庁が業務上横領容疑で逮捕した。この会の関連する政治団体では、多額の使途不明金が政界に流れたのではないかとの疑惑が浮上している。

 その政治団体の元幹部が述べたという。「業界生き残りの法律を金で買うという判断だった」。酒の販売の免許制度の見直しを巡る動きというが、そんな金の受け渡しが事実なら、絵に描いたような政治の腐敗ぶりだ。

 ブッシュ大統領はこうも述べた。「日本は自由と民主主義を広める良き友人だ」。米国も日本も、民主主義の強さを常に点検していないと、独善に陥ることになる。